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01.15
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風邪をひいている間にちょっと妄想したものです。
熱のあるときに考えたので一番印象に残った部分しか頭に残っていません(涙)
思考の外部記憶装置があったら本気でほしいです。どこかの映画の話になってしまいますけど。

かなり切ないかも、な左近の独白です。
左近視点の切ないすれ違いの話……だったはず。
ああ、もったいない。覚えていないなんて(泣)





すべりの良い髪は、指の間からはらはらとこぼれる。
くしゃくしゃに乱して深く差し入れて、そうしてようやく絡みついてくる様は、俺たちの関係にも似ている。
滑らかな額泣き腫らした瞼長い睫毛が頬に落とす、紫色の影。
抱きしめた身体受け止める重みは、前よりもずっと細く軽くなってしまって。
「との」
耳元で呼んでも、気を失うまで責め抜かれた殿は目を覚まさない。
それで良かった。こうして優しく触れてやれるときは、目覚めていて欲しくはない。
きっと。目覚めれば、殿はまた怯えた瞳で俺を見上げるのだろう。白い頬をいっそう青褪めさせて、それでも俺に縋ろうとしてくるのだろう。
その瞳が、どれほど俺を苛立たせるか、殿は知っているのだろうか。
身体が震えるほどの歓喜と同じだけの不快感を、どうして殿に抱かねばならない。
愛しいのだ。誰よりも。蓮の花のようなこの人を、俺は誰よりも欲している。
だが、身体だけを俺の傍に置いて、殿は誰のことを想っている?
俺に抱かれながら、誰の腕を夢見ているのです?
俺の名を呼びながら、誰をその瞳に映しているのです?
あなたを愛しているのです、そうずっと愛しているのです、殿。
だから、俺の腕に抱かれながら、けれども俺の手には入らない殿を、焼け付くような想いのままに引き裂かずにはいられない。殿を俺に、縛り付けずにはおけない。
そうすることで、殿がまたひどく傷ついてしまうことを知っていても。
俺の手から、また遠く離れてしまうということを知っていても。
「目覚めなければいいのに」
目覚めなければ、こうして優しく触れていられる。俺を焼く想いの炎が、殿をも焼くことはない。
この時だけは、確かに殿は俺の腕の中にいてくれると。
俺にすべてを委ねてくれていると。
だから。……だから、殿。
どうか、今だけは目覚めてくださいますな。
俺がここから立ち去るまで、あなたに優しさだけを与えていられるように。

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